冬しかできない土壌消毒「寒起こし」

寒起こしとは何ぞや?

寒起こしとは一年で一番気温が下がる時期の寒気を利用しておこなう土壌消毒です。
地方によっては「寒ざらし」とか「天地返し」と呼ぶ場合もあります。

関東以南で1月後半から2月が適期と言われていますが、関東以北であっても雪のない場所ならこの時期にやっておくべき。
土を掘り起こし、地中で越冬している害虫や病原菌を低温にさらして死滅させます。
寒起こしは薬品を使わなくても、土の中の害虫や病原菌を退治できる、冬しかできない貴重な土壌消毒のチャンスです。

農家さんは耕運機やシャベルで土を40cmくらい掘り起こし、深くにあった土を表面の寒気にあてますが、家庭菜園や庭ではとてもそこまではできません。
でも上手く縮小して取り入れていきましょう。

簡単寒起こしで害虫退治

植物を植えていない場所、植物の根に影響を与えないような場所の土を、スコップで深く掘り返します。
広く浅くではなく、狭い場所であっても深く掘って土の塊を地表に出すことを意識してください。
庭によっては土の層があり限界があるとは思いますが、20cmを目標に地中の固まった土を表面に出します。
土の表面は外気につられて下がりますが、地中はある程度の温度が保たれます。
掘り返していると謎の幼虫が多く冬眠していてびっくりします。
これを土の表面に出しておくと、農薬を使わなくても寒さで退治することができます。
地中の土と表面の土を入れ替えるようにするのがコツです。

茶色のツヤツヤした蛹がたくさん出てきたのではないでしょうか?
それは冬越中のヨトウムシの蛹です。
ヨトウムシは野菜でも花でも一晩で苗が姿を消してしまうほどの食害をおこします。
寒起こしをするかしないかで春からのヨトウムシ被害が変わります。
ぜひピンポイントであっても寒起こしをして下さい。

寒起こしで手間なし土ほぐし

土を掘り起こすことによって土に空気が含まれます。
でもこれはどの季節にも言えることです。
寒起こしには厳寒期ならではの素晴らしいメリットがあるのです。
掘り返した土の塊をスコップでひとつひとつほぐさなくても、ほっておけば勝手にほぐれていくことです。

明け方の一番気温が下がる時間、土の水分は凍って氷になります。
霜柱とまではいかなくても、土の表面が細かい氷で白くなりますよね。
時間とともに気温が上がり、その氷は溶けて水にもどります。
でも土は中の水分が凍ると膨らみ、溶けてもそのままの形を保つ。
この現象でに繰り返しで、地中から出てきた堅い土の塊は、放置するだけで勝手にスポンジ状に柔らかくなります。
堅かった土が一週間もするとつつけば崩れるようになる。
他の季節ならいちいちスコップで細かくしていた土の塊も、掘り返すだけでフカフカになってしまいます。

空きプランターや土のストックにも寒起こし

私は何も植えてないプランターバッグの土や、土入れに入れている土にも簡単な寒起こしをしています。
手入れした土を入れていても、いつの間にか害虫は卵を産み付けているもの。
最近は冬でも年内は気温が高く、害虫の活動期間や産卵期間も長くなっています。
農薬を使いたくない私には、空き時間にスコップで土を掘り起こすだけでできる土壌消毒はとてもありがたいのです。
空き時間に少しずつやれば春には違いがでてくる。
スコップだけでできる寒起こし、春に向けてぜひやっておきましょう。