鉢花を夏越しさせる現実的なコツ

実際に花にできることは限られている

日本の夏は毎年毎年長く、蒸し暑くなっています。
ベテランガーデナーでも、夏に花を萎れさせる失敗はもう珍しくありません。

だいたい鉢花の夏越し対策といえば「日陰に移動」、私も聞かれればそう答えていました。
でもそんなに都合のよい日陰ってたくさんあります?
玄関用の寄せ植えを、夏越しのために遮光ネットで囲ったり裏庭に置いたのでは、いったい何のために張り切って花苗を吟味して植えたのやらって感じです。
かといって暑い中、一日何度も鉢植え持ってウロウロ場所変えなんかやってられません。
私がやっている現実を踏まえた、実行できる鉢植えの夏越しのコツをご紹介します。

暑さに強い花苗を植える

新しく品種改良された、暑さに強い夏向けの花苗を買う。

身も蓋もないですが、一番のコツは最近売り出された、ラベルに暑さに強いことが強調されている花苗を買うことです。
各種苗会社も温暖化には危機感を持っており、今の日本の暑さに耐えることが可能な花苗の開発に力を入れています。
素人はこういった花苗を利用することが、まずは夏越し成功の第一歩なのです。

昔からある里山の山野草の場合、素人が設備なしで夏越しさせるのはもう無理です。
山野草マニアに聞いたところ、東北であっても遮光ハウスに送風機つけっぱなしで高温対策しているとのこと。
普通の夏越しではほぼ枯らすだけだと思っていた方がよさそうです。

秋から花を楽しみたいなら、まずは耐暑性の高い花苗を選ぶのが基本です。

上の写真は、私が今年育てている花です。
暑さに強いものを選んでいます。

葉っぱの大きい地這性の花は避ける

葉が大きめの横に広がる地這性の花はできるだけやめておきましょう。

そもそも葉が大きいと他の花より水切れが速くなります。
葉の面積が大きいことから、暑さには強くても葉焼けには弱く、花は咲いても見た目が映えません。

たとえ暑さに強い品種であっても、植物は蒸れには弱い。
気温が高い花であっても、「蒸れる」はまた別物。
葉が大きく地這性であった場合、株元に風が通らずどうしても蒸れてしまい、そこからカビが発生します。
カビは病気の原因となり、他の花にも広がります。
葉の大きな地這性の花は、暑さに強い品種であっても蒸れ対策が必要です。
葉が大きく株元が密になる花は、他の花より手間がかかると思ってください。

花の株元にバークチップを活用しよう

株元が蒸れる可能性のある花を育てる時は、バークチップを活用しましょう。
まず葉を少し摘んで透かし通気性を確保し、バークチップ敷いて空気の通り道を作ります。
葉が直接土に触れることもなくなるので、病気が出る確率もグッと低くなります。
葉が大きな地這性の花には、必ずバークチップを敷いて蒸れを防止してください。

バークチップは値段の幅がありますが、少し高めのモノを買いましょう。
値段の高いものは数年たっても堅いまま形が崩れません。
長期間敷きっぱなしにしていると、ナメクジやダンゴムシの巣になる可能性があります。
時々はひっくり返して虫が潜んでいないかチェックしてください。

日中数時間でも花に日陰を作る

暑さを恐れるあまり花を日陰に置いてししまうと、茎が徒長して間延びしてしまいます。
多年草園芸品種は6月に切り戻しするものがほとんどですが、暑さ除けで日陰に置くと徒長だけでなく花芽も減ってしまいます。
暑さは避けたいのですが、花にはやはり日光が必要なのです。

日中日差しが厳しい数時間、ダンボールなどで陰を作ってやりましょう。
鉢を移動させないので楽ですし、暑さに強い品種の花なら、これだけで元気に夏越ししてくれます。
ポイントは以下の2つ。

  • 花も鉢も陰にすること。
  • 陰を作ることに気を取られて囲ってしまい、却って風の通り道を飛騨がないこと

雑に手前にダンボールを立てかけるくらいで十分な効果があります。

夕方に花の水やりと打ち水を

夏の水やりは気温が下り坂になる夕方にするのがお約束です。
気温が上がっていく朝に水やりすると、鉢の中の湿った土の温度が上がり、根っこが傷んで花はだんだん弱っていきます。
朝の水やりは根腐れの原因になってしまうのです。

近年の夏は夜でも気温が高い。
とくにマンションのベランダは、住民が帰宅するとともにクーラーの室外機が作動し、夜間でも気温はそんなに下がりません。
夏の水やりには以下のことを注意してください。

  • 鉢と鉢の周囲にも打ち水し、コンクリートの熱を飛ばしてしまう
  • エアコンの室外機の熱風が当たっていないか確認する
  • 水やり後もまだ西日が当たるようならダンボールで日光を遮る

水やりで土に水を与えるだけでなく、同時に打ち水で鉢の外側や周囲の熱も下げることもセットで行ってください。

秋の花は夏越しで決まる

今一番人気の花は、一株でも大きくドーム状に広がる多年草系園芸品種です。
ホームセンターの園芸コーナーで見かける、サントリーやPWの多年草がこれにあたります。
春から秋まで花期が長いものが多く、秋に豪華に咲くかどうかは夏越しで決まります。
真夏はどうせ花が減るので無理に咲かせず、軽く切り戻ししながら元気に夏越しさせることだけを考えましょう。

多年草系園芸品種は、切り戻しして花芽が増える2年目から本来の実力を発揮します。
この花の本当の美しさは2年目からなのです。

夏越しのコツをつかめば多年草園芸種の美しさを引き出すことができます。
一年草を買って植えて撤去する。
その繰り返しでは味わえない花作りの楽しさを味わえます。
上の写真は私専用のカフェコーナー、自作の花に囲まれるとガーデニングの疲れも忘れてしまいます。

花の夏越しはちょっとした工夫の積み重ねです。
夏越しに成功してぜひ秋にたくさんの花を咲かせてください。