葉が日に焼けて火傷する「葉焼け」
夏の平均気温がどんどん上がっています。
今や最高気温35℃越えは普通ですし、最低気温も30℃を少し切る程度にしか下がりません。
高温の時間帯が長くなるにつれ、植物の高温障害も増えています。
葉焼けは、直射日光が原因でおきる高温障害の一種です。
強い日光にあたると葉の葉緑素は破壊され、回復することはもうありません。
葉緑素が破壊された部分は茶色く縮れたり、白く色が抜けてしまいます。
少しなら葉の縁が茶色くなる程度で済みますが、多くの面積が葉焼けすると葉は落葉してしまいます。
葉焼けは植物にとっての火傷といえるでしょう。
多くの葉が葉焼けすると光合成がストップします。
すぐに新しい葉が出てくる場合はいいのですが、そうでなければ花でも野菜でもそのまま枯れてしまいます。
短時間で一気に枯れてしまうので、ウイルス病と区別がつかないこともあります。
葉焼けは短時間でおきる
葉っぱが火傷するということにピンと来ない方もおられると思います。
でも夏に下のイラストのような葉を見たことありませんか?
葉焼けは、まず南に向いている葉や成長点付近の若い葉から症状が出ます。
ガーデニングで葉焼けがおきると見た目が悪く、そのまま進行すると植物を枯らしてしまいます。
自然に葉が入れ替わるのを待たないと、変色した葉が元に戻ることは絶対にありません。
どうすれば葉焼けを防ぐことができるのでしょうか。
「日陰向き」は葉焼けする
葉焼けは品種により、おきるものとおきにくいものがあります。
基本として花苗を購入するときに「日向向き」と書いてあるものを選んでください。
ここで注意すべきは「高温に強い」と「日向向き」を一緒にしてしまわないこと。
「高温に強い」はあくまでも温度の話であって直射日光に強いかどうかはまた別の話です。
高温に強くても「日陰向き」とあればまず葉焼けします。
なまじ高温には適応することから、日向に植えても6月あたりまでは順調に成長しますが、7月8月あたりの照り付ける太陽で葉焼けしてしまう。
日陰が適しているということは、日差しが苦手ということです。
種苗会社もマイナス表現は避けます。
ラベルに書かれている真意を読み取りましょう。
環境の変化で葉焼けする
日向が好きな植物でも、環境が短時間で変わると葉焼けしてしまいます。
同一の植物でも、去年の秋から日向に置いているものと、数日前にそこに置いたものなら、同じ場所でも後者のみが葉焼けすることはよくあります。
植物は生命力が強く、ゆっくりした環境の変化には強いのですが、急に周囲の条件が変わることには適応できません。
西日が強く当たる場所なら、日向向きの植物を前年の秋から植えておきましょう。
寒い冬から徐々に気温が上がり、日差しも長くあたる経験をさせると、葉焼けをおこすことが少なくなります。
苗を初夏に買って鉢に定植した場合は、最初の1~2週間は日光にあてず、明るい日陰で管理しましょう。
その後午前中数時間だけ日向に出すようにし、少しずつその時間を長くします。
いきなり日向に置いてしまうのは厳禁です。
葉焼けに遮光ネットを使う場合の注意
葉焼けの手っ取り早い防止策は、遮光ネットの中に植物を入れてしまうことです。
遮光ネットは人工的に曇りの状態にしてしまうわけなので、西日があたる時間帯に遮光ネットに入れるだけでも、葉焼けを効果的に防ぐことができます。
遮光ネットでやってはいけないのが、数日入れっぱなしにしていた植物を、いきなり日差しの強い外に出してしまうこと。
曇りの日が続いた後にいきなり日差しカンカン照りの晴れがきた状態を作り出してしまっています。
これでは葉焼けの原因を作っているのと同じですね。
遮光ネットに慣れていたのに、出したとたんに葉焼けしてしまうと思います。
ピーマンだって葉焼けする
私は夏に必ずピーマンを栽培するのですが、ピーマンも実が日に焼けて焦げてしまいます。
ピーマンは葉っぱではないので、葉焼けではなく酷い日焼けって感じでしょうか。
幼果が大きくならず干からびてポロポロ落ちたり、日差しのキツイ方向の実が茶色に変色したりします。
尻腐れ病と紛らわしいのですが、変色部分がお尻の部分だけでなかったら日焼けの場合が多い。
変色した部分以外は食べても大丈夫ですし、株も抜く必要はありません。
夏は植物より人間優先
40年前の気象データを調べてみたら、私の居住地では、最高気温30℃越えの日は年間数日もありませんでした。
夕立ちもほぼ毎日あったので、夏の水やりにも苦労しなかったと思います。
今の日本は災害級の暑さが2ヵ月続き、昔とは事情が全く違います。
夏はとにかく人間の健康が優先です。
葉焼けを防ぎたいなら、とにかく遮光ネットの中のつっこんっでおくのも大いにありだと思います。
葉焼けさせて植物を枯らしてしまっても、暑いんだからしょうがないくらいの開き直りを持ってください。
いくらガーデニングが好きでも、しんどくなったらすぐに作業を止めて家に入って休みましょう。
もう少し、は絶対禁物です。
夏は休んで秋から再開もいいのではないでしょうか。
ガーデニングを長く続けるコツは無理をしないということです。