花栽培と野菜栽培の相違点
花を楽しむガーデニングと野菜を育てる家庭菜園。
園芸の2大柱ですが似たようなもんでしょ?と思っておられる方が多いと思います。
確かに盆栽みたいな特殊な技術が必要というわけでなし、素人にも楽しめる一般的な園芸なのですが全く一緒かと言うとそうでもないのです。
私は花栽培から始めて家庭菜園もやるようになったので基本は花。
最初は問答無用で花方式でやっていて失敗することも多々ありました。
花ではそうやるのが常識なのでなんで失敗するのかわからない。
その一つが「根鉢を崩す崩さない問題」です。
そもそも苗の根鉢とは何でしょう?
根鉢てなんやねん?という方もおられるでしょう。
根鉢とは、ポット苗の中身の土と根っこの塊のこと。
よく言われる「根鉢に根が回っている」とは、根がちゃんと伸びてポットの内側の側面や底面に沿って回り込んでいる状態のことです。
上の写真の花苗も根鉢に根っこが回っています。
花苗はたいていこれくらい根が回っているのが普通です。
別に古い苗というわけではなく、とても良い状態の苗です。
花苗は生育期間が比較的長いのでこれくらい根っこが回っていて当たり前。
園芸店に本日入荷の苗でもこれくらい回っています。
売れ残りではありません。
上の写真は底にもポットの形に根が回っています。
花苗ではこれも当たり前です。
むしろ私はポットの底穴から根っこが見えてるくらいの苗を選んで買います。
どうしてかというと抜いた時に土がばらけて根を傷めることがないから。
これくらい根が回ってくれていると、写真のようにポットから抜いて置いておくことも出来て作業がとても楽に進みます。
ポットから出した途端に根鉢が崩壊して根っこ剥きだしという失敗がありません。
花苗は根鉢を崩して定植するのが常識
花苗は基本根鉢を崩して定植してください。
根鉢を崩さないと根がいつまでも周りの土に馴染みません。
テキストにはひげ根をだす植物には根鉢を崩してもかまわないが、直根性の植物には根鉢崩しは厳禁と書いてあります。
でも何百個と花苗を買って定植してきた経験では、花苗なら根鉢は崩した方が土と馴染みやすく早く生長します。
ラベルにダメと書かれているもの以外は基本的に根鉢を崩して定植すべきです。
根鉢を崩さず定植してくださいとのラベル表記があった苗と言えばルピナスくらい。
それ以外は全部根鉢は崩して定植しています。
花苗、根鉢崩しのコツ
花苗の根鉢崩しにはコツがあります。
基本的には底から3分の1までの根を丁寧にほぐします。
上記写真の赤丸の部分。
そして空間が出来ないように定植先の土に密着させて植え付けます。
根が長くまわっていたら青線部分に切り込みを入れます。
ハサミで切り込みを入れて下さい。
それから丁寧にほぐしましょう。
空間が出来ないように注意して定植先の土に密着させて植えて下さい。
園芸記事を投稿している Yahoo!クリエイターズプログラム の方には書かなかったのですが、私が作るギャザリング式の寄せ植えではどこまで根鉢が削れるかが勝負の決め手となります。
定植の根鉢崩しと寄せ植えの根鉢崩しはまったく別物です。
見栄えする寄せ植えを作りたければ極限まで根鉢を崩して植え付ける技術を身に着けて下さい。
野菜苗は根鉢を崩さず定植しよう
野菜は根鉢を崩さずに定植して下さい。
花から入った人はポット苗を抜いたら流れるように根鉢を崩すのが癖になっています。
私もそうです。反射的に崩していました。
これは大間違い。絶対にやってはいけません。
野菜は根が回っていても根鉢を崩さずに定植して下さい。
根鉢を崩すと却って生長が遅れてしまいます。
野菜苗は根鉢の崩壊に気をつけよう
野菜苗は花苗より根が回っている率が低い。
むしろ心配するべきはポットから抜いた時の根鉢の崩壊です。
根鉢が崩壊しそうな野菜苗はまず十分に土を湿らせます。
そしてやさしく周囲からポリポットを押さえ、土を軽く固めてから取りだしましょう。
この作業に自信がなかったら無理せず大苗を買えばいいと思います。
大苗は初心者がスムーズに定植できるようにと売られているものです。
少し単価が上がりますが根がある程度回っているので定植が楽ちんで土馴染みが早い。
失敗して植付けシーズンを逃してしまうくらいなら無理せず大苗を使いましょう。
成功への近道です。
意外とある花栽培と野菜栽培の相違点。
気をつけて園芸を楽しみましょう。