球根性オキザリスの地植えって、正気か?
C2C、Consumer to Consumerの個人間取引は園芸界でも活発です。
リスクも多いとは思いますけどおやりになればよろしいんじゃないですか?自己責任で。
自分はやらないもんだから全く興味のなかった私です。
ですが球根オキザリスに関しては警鐘を鳴らしておいてもいい。
いや私が警鐘を鳴らさなくてどうすると思い立ってペンを執る、いやマウスを握りました。
これさー、わかって人に勧めてんの?
適当にネットで情報集めただけで自分ではやってないでしょ?
そう思って皮肉な目で見てしまう第一位は「プラスチックバケツでの生ごみコンポストを勧めるYouTuber」です。
通気性のないプラスチックバケツで生ごみは腐るだけ、堆肥にはなりません。
そしてこの度、第二位に「気軽に球根オキザリスの地植えを提案するC2Cの売り手」がランクインしました。
第二位ちょっと地味だけど。
『オキザリスは世界中に850種あまり分布している。一年草または多年草で、地下に鱗茎か根茎を持ち、地上に茎を伸ばす場合もある』
ちょっと調べたらこんな感じのオキザリス。
気候に対する適応力が強く生命力が半端なさそう。
こんな球根性オキザリスを地植えしたらどうなるか?
ここでウチの庭を見てみましょう。
もうお手上げ!球根性オキザリス
咲き誇るオキザリス ブラジリエンシス。
濃いピンクの花が咲く球根性オキザリスがみっちみちに地面の表面に膜を張っています。
左下の少し葉が黄化したところに注目してください。葉は二重三重に重なって土なんか見えません。
ここにスコップを突き立てようとしてもなかなか先端が刺さらないくらいです。
球根性オキザリスがみっしり隙間なく繁殖しています。
そして元から植えられていた宿根草を順調に枯らしているのです。
私は別にこの場所にオキザリスを地植えしたわけではありません。
10年以上前に家族が道の駅でオダマキの苗を買いました。
その苗にこのオキザリスもついていたらしいのです。
オダマキはもうとっくに枯れましたが球根性オキザリスは庭全体に広がってしまいました。
球根性オキザリスが増える仕組み
オキザリス ブラジリエンシスを抜いたところ。
白い大根みたいなのは根っこです。オキザリスはこの大きな根っこにたくさんの水分を溜めこんでいます。
大きな根の上にある肌色ものは球根。
球根はニンニクのように小さなカケラが集まって出来ています。そしてその小さなカケラ一つ一つに発根発芽する能力があります。
葉の根元をもって引っこ抜くとダイコン状の根っこは取れますが、上の球根が小さく分裂して地中に残る。
そしてまた大きく育っていきます。
球根から出るの花や葉だけではありません。
イチゴのようにランナーを伸ばし、着地した場所でまた球根を作ります。
球根性オキザリスは一か所に植えるとその場所を中心としてどんどん円を描いて広がっていきます。
そして元から植えられていた宿根草は発芽できずに枯れて消えてしまいます。
他の植物を枯らしてしまう球根性オキザリス
いわゆる外来種で生命力が桁違いの球根性オキザリス。
ここはもともと山野草のタツナミソウがわっさわさに咲いていましたが、一年で球根性オキザリスに入れ替わりました。
根が大きいので葉が貧弱でも球根は分裂して順調に増えているのです。
この場所はたくさんユリを植えていました。
でも球根性オキザリスに負けて残り数本になってしまいました。
百合の球根は球根性オキザリスより深いところにあります。
地表にびっしりある球根性オキザリスの根のせいで球根まで水分が届かないのだと思います。
かと言って球根性オキザリスを掘り起こすと百合にも影響がでてしまいます。
この球根性オキザリスに注意!
オキザリスのすべてにこんな異常な繁殖力があるわけではありません。
増えて欲しいのになかなか着かないオキザリスもたくさんあります。
なんせ種類が多いですからね。
ウチの庭で尋常じゃない増え方をしているのは上記の『オキザリス ブラジリエンシス』
『オキザリス スプリングチャーム』(下の写真)
白、ピンク、紫、黄の大きな花が咲いてとてもかわいいのですがめちゃくちゃ増える。
石の隙間でも何でもお構いなしです。
『オキザリス セルヌア』(下の写真)
どれだけの宿根草がコイツの巨大な根で枯れたことか…
花は綺麗な黄色でかわいいのですけれど。
球根性オキザリスはまず鉢植えで楽しもう!
花は結構かわいい球根性オキザリス。
その生命力を確認するために、いきなり地植えにせずまずは鉢植えで楽しみましょう。
あっという間地表一面に増えたらその球根性オキザリスは地植え厳禁。
植替え時の土も管理に注意して下さい。
小さな球根のカケラが混ざっているかもしれません。
球根性オキザリスはグランドカバーにも向かない
この球根性オキザリスをグランドカバーに勧める人もおられます。
ですが花が咲いてキレイなのは最初の2年ほどではないでしょうか。
3年目以降、オキザリスは増えすぎて球根は固くびっしり地面を覆います。
花は咲かなくなり水はけも悪くなります。
そしてその後は土に球根が混ざり込み、機会があるごとに球根性オキザリスが生えてきてしまいます。
造園業のプロは球根性オキザリスが繁殖してしまったら一度枯葉剤を撒くしかないとおっしゃっています。
安易な地植えをしてしまうと素人では収拾がつかなくなるのです。
性質をよく知らない外来種は草花であっても安易に植えることは厳禁です。
適当なアドバイスを真に受けて球根性オキザリスを地植えにするのは絶対にダメ。
今後一生草抜きに命をささげるくらいの覚悟がなくてはやってはいけないことです。