根の方向がポイント!パンジービオラを大株にする定植方法

パンジービオラの素晴らしさ

パンジービオラ、植えてますか!
パンジーとビオラは、苗が安価で入手しやすく、定植後も育てやすく、開花期がとても長い、という三拍子そろった素晴らしい花です。
品種改良も盛んでフリフリの凝った花も増え、ガーデニング初心者からベテランまでみんなに人気があります。
私は凝ったパンジービオラも好きですが、やたらと蕾が上がる安い黄色のビオラも大好き!
毎年必ず苗をたくさん買います。
これ元取れてんのか?という安値からビビる高値まで値段にも幅があり、その時のお財布に合わせやすいのも嬉しいところ。
私はパンジービオラを種からも育てていますが、残暑が長引くと成功率がグッと下がります。
苗を安く簡単に入手することができるというのは実に有難い利点です。

※グロ子激推し黄色のビオラについては別記事を参考にしてください 安い黄色のビオラを狙え!パンジービオラの賢い買い方

パンジービオラは根が廻りやすい

パンジービオラを苗で購入すると、ポリポットの中で根が廻っていることがあります。
「根が廻る」とは本来土中で放射線状に広がるべき根っこが、狭いポリポットの中で行き場をなくして固まる現象。

上のイラストのの部分は、本来なら根が広がっていた方向です。
でも根はポリポットの側面にあたり、壁に沿って下へ下へと伸びていきます。
底まで到達すると行き場をなくし、の部分で溜まってしまいます。
ポリポットからパンジービオラ抜くと、底の部分がに根が白く密集しているのを見たことがあると思います。
の部分で、根がグルグルと底に円を描いて固まっている現象です。

パンジービオラのひげ根は固まりやすい

パンジービオラは発芽から苗の状態になるまでに比較的時間がかかり、その間に根が成長し、苗を買った時点で根が廻っていることが多い花です。

上の写真の赤丸の部分です。まだ地上部が小さいのに根が廻っています。

パンジービオラの根は、ひげ根というモヤモヤした繊維のような細かい根。
この根は一旦固まると、自分の力では広がることができません。
この状態のまま穴に置くように定植してしまうと、根は撤収時までこの状態で固まったままです。
当然ながら地上部のパンジービオラも発育せず、小さな株のまま定植した意味もなく終わってしまいます。

固まったパンジービオラの根を切り取る

パンジービオラは定植前に、底の固まった根を取り去ることが必要です。
底部分をハサミで薄く切り取ってください。

底にできた根の膜をハサミで切り取るイメージです。
底の根の膜を手でピーッと引っ張って剥がしたくなりますが、思う以上に根が引っ張られて根鉢がグズグズになることがあります。
必ずハサミで切り取ってください。

見切り品のパンジービオラ苗を買うと、根が底で厚く固まっています。
その場合は、底の部分の根が巻いている部分を切り落とす感覚で取り除いてください。
上の写真のように、底面からちゃんと土が見えている状態にしましょう。

パンジービオラの側面の根を処理する

パンジービオラはポリポットの側面でも根が固まっていることがあります。

側面の根も、土の中で広がりやすい状態にしてやらなくてはいけません。
底の根の膜を切り取ったあと、側面に4カ所ほど切り目を入れます。
このとき気をつけるのが、根鉢の上まで切り目を入れないこと。
少なくともポリポットの半分より下から切り目を入れてください。
長い切り目をいれてしまうと、苗の土がバラバラになることがあります。
側面の根の膜を指でほぐすのもやめてください。

側面の根の膜に切り目を入れたら、その根を広げて定植していきます。
上のイラストはイメージなので実際はここまで広げなくてもかまいません。
このとき注意すべきなのは、新しい根が伸びやすいように、側面の根の塊を取り除いてしまってはダメです。
側面の根の塊を引っ張ると、次の新しい根にダメージが出やすくなります。

パンジービオラの根が廻っていない苗なら

たまにパンジービオラでも、底にも側面にも根が廻っていない苗にあたることがあります。
底穴から覗いても根が全く見えず、抜いても白い根の塊がない状態の苗です。

この状態の苗は、気をつけないとポリポットから抜いたとたんにバラバラになります。
パンジービオラに限らず、底穴から覗いても根の気配すら感じられない苗は、ポリポットから抜く前に土を軽く湿らせてください。
オニギリをつくる要領でポリポットの上から軽く押さえ、土をふんわりと固めて手早く抜いて定植する穴におきましょう。
根を広げる必要がないので、そのままやさしく定植してください。

平成、昭和とはやり方を変えよう

グロ子はガーデニング歴が長いので、昭和時代からの園芸番組やガーデニング雑誌を知っています。
パンジービオラは丈夫なので、昔は根を雑に手でほぐして植えるのが常識でした。
むしろ根に少しダメージを与えた方が、次に出てくる根が勢いよく出てくるとさえ言われていました。
実際にそのやり方で定植しても、その後パンジービオラは元気よくイキイキと大株に育ったのです。

でもここ40年で考えられないくらい気候が変わっています。
パンジービオラの生育適温は5℃~15℃と低いのに、定植する10月は夏日が続き、最高気温30℃を超えています。
高温下では植物の地上部に比べて根が張っていないと、すぐに水分不足で萎れてしまいます。
この時期に定植するパンジービオラの根にストレスを与えてしまうと、根は現状維持で精一杯となり、根を広げて成長する余裕がなくなります。
結果根を少しも張らないまま冬になり、少しも大きく育たないパンジービオラ株が出来上がってしまいます。

今の現状を考えてパンジービオラを定植する場合、とにかく根にストレスを与えないことが必要です。
そして定植後は、気温と生育適温との差を埋めるようにしてやること。
鉢植えなら直射日光で高温になる時間帯は日陰に移動させる、地植えならその2時間前前後はダンボールを被せてしまうなんていうもの効果的です。

パンジービオラは液肥を欠かさず、花殻摘みなどの手をかけてやると驚くような大株に育ちます。
せっかく我が家にやってきたパンジービオラです。
ひと手間かけてたくさんの花を咲かせましょう。