プランター栽培、肥料の使い方

そのテキストはプランター栽培に当てはまる?

世の中にはたくさんの園芸テキストがあります。
家庭菜園の本やテキストは基本的に地植え栽培を前提にしています。
プロ目線が多く、加温器、ビニール温室ありきの話も多い。
プランターでやる野菜栽培や鉢での花栽培には向いてなかったり、そもそも必要なかったりする方法もたくさん載っています。

最近「それは肥料のやり過ぎでは?」と思える記述が目につくようになりました。
地植えより少ない量の土でやるプランター栽培に肥料は大事ですが、あれもこれも施す必要はありません。
園芸雑誌の広告主は肥料メーカーが多い。
大人の事情もあるのではと勘ぐってしまいます。

新しい培養土なら栽培前半の肥料は必要なし

プランターに入れる土に新しい培養土を使うなら、固形肥料を混ぜ込む元肥は必要ありません。
土の袋をよく読むと「肥効30日」とか「肥効45日」などと書いてあるはずです。
むしろこの期間は肥料をやってはいけないくらいだと思っています。
野菜にしろ花にしろ栽培初期に肥料が多すぎると病気の原因になります。

使い古しの土に必要なのは肥料よりもまず堆肥

プランターに使い古しの土を入れて栽培する場合はやるべきことがあります。
まず堆肥や腐葉土を混ぜ込んで、減った腐植物を補って下さい。

腐植物が豊富に含まれている土は肥料がよく効きます。
土の保水力が高いので固形肥料がきれいに分解されるからです。
腐植物には肥料を長期間土の中に留めておく力、保肥力があります。
腐植物がなければ、肥料は溶けても根に吸収されず雨や水やりでどんどん抜けていってしまうだけ。
固形肥料だけでなく液肥をやっても効きません。
肥料は土の中の腐植物ありき、肥料はそれからです。

使い古しの土を使う場合の初期の肥料のやり方

気になる固形肥料の溶け残り

こんなのがたくさんあります

使い古しの土で見かける固形肥料の溶け残り。
よく見かけるのではないでしょうか。
タブレット肥料なら栄養分は抜けているのでしょうが、緩効性肥料のコーティング粒の溶け残りにはまだまだ栄養分が含まれています。
こういうものは偏った肥料過多の原因となります。
使い古しの土であっても栄養分がないわけではありません。

定植時の肥料は最小限を株元に埋める

そうはいっても使い古しの土だから肥料を全くやらずに定植するには抵抗がある。
そんな場合は少量の肥料を、根に直接触れないよう株元にしっかり埋めて下さい。
ただ地上に置くタイプ(置き肥)の肥料なら埋めてはいけません。
早く溶けて効きすぎることがあります。
固形肥料は土の水分で分解され、根から吸収されることによって養分になります。
固形肥料をプランターの縁にばらまいてもあまり意味がありません。
水分が足らず分解しないので溶け残り肥料の原因となるだけです。

栽培中盤からは液肥が便利

栽培期間の長い花や実物野菜、根物野菜では栽培中盤から肥料が足りなくなってきます。
ここからは積極的に肥料をやりましょう。
水やりの水に混ぜる液肥は即効性があり、やり過ぎても過剰分は流れやすい性質を持っています。
プランター栽培なら量をコントロールできる液肥が便利です。
窒素:リン酸:カリ がバランスを考えて配合されており、野菜用、花用など用途を選べば失敗がありません。

固形肥料を使う場合は緩効性肥料に注意!

栽培中盤からの肥料に固形肥料を使うこともできます。
固形肥料には効き目が早い即効性肥料と、ゆっくり効く緩効性肥料があります。
肥料が効いて欲しい期間は施肥時から収穫までです。
それより長く効く緩効性肥料を使ってしまうと溶け残りが出ます。
中途半端な養分が土に残り肥料過多の原因を作ってしまうだけとなります。
効き目の長さを確認してから用途に合ったものを使って下さい。

単肥の使用は症状を確認してから

肥料には単肥(単体肥料)という成分が1つだけの肥料がありません。
これは植えている植物にその成分の欠乏症が出た場合にのみ使って下さい。

安易に窒素の単肥やリン酸の単肥を使用するとバランスが崩れて、窒素過多やリン酸過多を招くだけとなります。
肥料は必ず消費されるだけをやるように心がけましょう。

肥料が効かないと感じたらまずは堆肥

肥料を規定量やっても効果が出ないと感じる時があります。
それは肥料不足ではなく土の保肥力が落ちているのです。
肥料を追加するのではなく、土に堆肥や腐葉土を混ぜて肥料が効く環境を整えて下さい。
土に腐植物が増えれば肥料は規定量でちゃんと効きます。
ここで腐植物を混ぜずに肥料をやり続けると肥料焼けとなります。
野菜や花を枯らす大きな原因となるので気をつけて下さい。