絶対ダメ!やってはいけない塩の雑草処理

塩に有毒性はないものの

除草剤の有毒性を気にして雑草処理に塩を使う方がおられます。
たしかに除草剤の有毒性に関してはいろいろな話があり、庭で野菜を育てている私は絶対に使用する気はありません。
だからと言って除草剤の替わりに塩を使うのはちょっと話が違ってきます。

塩での雑草処理はネットで見かけますし、テレビでお役立ち情報として放送されることもあります。
食酢で家庭菜園の防虫スプレーを作るのと同じ感覚なのでしょうか。
「人間の口に入るものだから毒ではない、環境にもやさしい天然の除草剤です」と言われています。
でもこれは大間違い。
塩を土に撒く雑草処理は絶対にやってはダメ!
取り返しのつかないことが起きてしまいます。

ノウゼンカズラに塩使いがち

雑草どうこうの話ではなくなる塩の除草

結論から言うと塩を撒くと雑草は枯れます。
撒く塩の量にもよりますが、その後数年雑草が生えてこなくなります。
ここだけ聞くと理想の除草剤に思えますが、土に入り込んだ塩は様々な影響をもたらします。

生えてこなくなるのは雑草だけでなく植物全般。
数年は植物が育たない土になるので近辺の植栽は枯れますしその後花も野菜も育ちません。
このことから花壇や家庭菜園の雑草処理に塩を使ってはいけないというのはわかります。
まぁ普通、花や野菜周りの雑草に塩を撒く方もおられないでしょう。
撒く量にもよりますが数年たつと徐々に土は回復するようです。

土は年数をかければ回復しますが、問題は住居周りや通路、敷石、塀際の雑草に使ってしまった場合です。
これが予想以上に大きな影響をもたらします。
植物を植える予定がない場所だから大丈夫と判断してしまいますが問題はそこではない。
もう雑草なんて関係ありません。
塩の雑草処理は建物や塀に多大な被害を出しかねない危険な行為なのです。

鉄筋コンクリートの壁に影響

私が実際に聞いたのは鉄筋コンクリート造の壁に補修工事が必要となった話です。

塀際に雑草が生えて抜いても抜いてもきりがない。
雑草を処理するために住んでいる方が塀に沿って何回か塩を撒いたそうです。
そのうちにコンクリートの表面に茶色の錆が浮いてきました。
最終的にはその部分のコンクリートが剥離し、鉄筋が露出してしまいました。
そうなると耐震強度が低下するので補修工事となります。
塀に近い雨水枡の鉄蓋も錆びて真っ赤に朽ちてしまいました。

施工会社の人によると、劣化は仕方のないものだけれど塩分がそれを飛躍的に加速させる。
工事直後であっても、塩なんか撒いてしまったらすぐに経年劣化が通常の何倍ものスピードで始まってしまうそうです。
原因は間違いなく塩を撒いたため。
もう絶対にやらないで下さいと厳重に念を押して説明したとのことでした。

でもこれは地上で起きたから気が付いたこと。
これと同じことが地下でも起きているのです。

玉砂利の雑草

塩は見えない地中で広がる

塀際に塩を撒いた方は庭の水道周りや玄関前にも撒いておられました。
地下にはいろいろなインフラの配管が通っているはずです。
そういうものにも影響が出ているかもしれませんが、掘り返して確認するわけにもいきません。
雨が降る度に塩は広がっていき、お隣の敷地にも届いてしまいます。

徐々に塩の濃度は低くなっていくのでしょうが、それでも自然界で想定される濃度ではありません。
塀なら補修も楽ですが家の下に入り込んだ塩の被害はそうはいきません。
家の基礎の鉄筋にも塀と同じことが起こっているのではないかと不安になります。
でも実際には何もできない。
これは雑草が生える生えないの小さな話ではありません。

水道近辺に球根性オキザリス(涙)

公園での塩の除草は絶対禁止

除草剤の有毒性を考慮して公園の除草に塩を使う例もあります。
小さな公園は市役所ではなく自治会で管理している場合もあり、塩を除草につかうリスクをご存じない方もおられます。
公園には小さな子どもが使う鉄製の遊具があります。
鉄は塩に弱いのにカラフルに塗装されていることから素人では腐食がわかりません。
腐食を加速させる塩での除草は絶対にやってはいけないことなのです。

東日本大震災の後、塩害に関する情報をよく見かけました。
海水が引いた後、田んぼの塩分を抜くために菜の花を植えていたニュースを覚えておられる方も多いでしょう。
当時は家庭菜園仲間でも塩の雑草処理とその影響についてよく話題になりました。

こういうことは知っていて偉いとか知らないと恥ずかしいとかではありません。
とにかくみんなで知識を共有することが大事なのです。
私だって知らなければやりかねない。
塩は身近にあるものだし、発ガン性があると言われる除草剤と比較すると安全な気がしてしまいます。
身近で雑草に困っておられる方がいたら、塩はダメだよ!と一声かけてあげて下さいね。