有機でも化成でも、そもそも肥料とは
肥料とは何ぞや?
窒素、リン酸、カリが肥料三要素としてお馴染みですが、この三要素を中心とした植物の栄養分を土に補うものを肥料といいます。
栄養分はもともと土にも含まれていますが、それだけでは足りない場合があります。
毎年何らかの野菜を育てている畑や、限られた土の量で野菜や花を育てるプランター栽培では、何らかの形で肥料を補ってやらねばいけません。
特に実物野菜などは肥料をやるとやらないでは大きな違いがでます。
無肥料栽培という栽培法も最近よく耳にします。
でも実際のところ、3年目からは良い結果が出ていないといわれています。
プランター栽培で新しい培養土を使うと、あらかじめ肥料が入っているので他に肥料をやる必要がありません。
これを無肥料栽培と混同している方もおられます。
自然界で土に蓄積される肥料分だけで野菜や花を育てるのは無理があるのです。
有機肥料と化成肥料の成り立ちの違い
良いのは重々わかっていてもニオイがちょっと困る有機肥料。
家庭菜園愛好家に嫌われがちな、ちょっと肩身の狭い化成肥料。
肥料への認識ってそんなものですよね。
有機肥料は肥料となる栄養分を動植物から生成しています。
代表的なものは鶏糞、油粕、魚粉、草木灰などで、いわゆる窒素リン酸カリ以外にも様々な微量要素を含んでいます。
また有機物を分解するため、それを食料とする微生物が増えます。
微生物の存在がいわゆる土壌改良効果を上げます。
化成肥料の原料は空気中の窒素やリン鉱石カリウム鉱石です。
これも本来自然にあるもの天然物から作られてはいるのですが、有機物ではないので化成肥料を使うことで土壌の微生物が増えることはありません。
過去に過剰に使い、地下水汚染などを引き起こした過去があるせいか、あまり良い印象を持たれていない気がします。
これは使い方に問題があった為で、肥料に罪はありません。
安価な化成肥料なしには、大規模農業は成り立ちません。
有機肥料と化成肥料の特長の違い
有機肥料には土壌改良効果がありますが、化成肥料には土壌改良効果はありません。
有機肥料には肥料としての機能と腐植物を含むことから土壌改良効果があります。
肥料と土壌改良の2つの効果が期待できます。
化成肥料には肥料成分のみ。ストレートにそれのみ。
土壌改良効果はありません。
化成肥料は肥料成分のみというところ、これが土に悪いという印象を与えているのではないかと思います。
化成肥料が土を荒れさせるのではなく、化成肥料には土壌改良成分が含まれていないため、同時に土に腐植物を足してやる作業が必要となります。
堆肥を混ぜることを同時におこなえば、化成肥料は土を傷めることもありませんし、少量でとても良く効いてくれます。
私は家庭菜園を始めた当初、花に使っていた化成肥料を使用し、土壌改良にあまり重きを置いていませんでした。
栽培期間の長い野菜の撤収後、土が荒れてしまって再生するのにとても時間がかかりました。その反動でその後土壌改良に力をいれつつ、有機肥料のみを使用することにしました。
でも油粕や鶏糞などは、加工して粒状や粉状にしたものでもニオイがあり、効果が出るまでに時間がかかります。
住宅地の庭で使うのにはちょっと不向きと思いました。
マンションのベランダ菜園でも風向きによっては気を使うのではないでしょうか。
有機肥料と化成肥料は効果のスピードが違う
有機肥料と化成肥料では効果の速さが違います。
有機肥料は遅効性肥料、緩効性肥料ともいわれ効きが遅い。つまり元肥向きです。
ニオイがあるにもかかわらず効きはゆっくり。つらいところです。
また効きが遅い為につい使い過ぎてしまいます。
栽培していた野菜を撤収しても使われない肥料分がバランス悪く土に残留している場合も多いです。
化成肥料には速効性があります。
最近はコーティング技術により、ゆっくり効く化成肥料も増えてきました。
有機と化成の良いとこ取りの混合肥料「有機化成肥料」
居住エリアと隣接するスペースでプランター栽培に使用するなら有機肥料と化成肥料の長所を盛り込んだ混合肥料、有機化成肥料がベストだと思います。
いまの有機化成肥料は有機寄りのものが増えています。
微量要素も多く含ませてあり、土壌改良効果も期待できます。
また効きは何日間かも表示されているので使い過ぎが防止できます。
先ほども書きましたが、鶏糞や牛糞、油粕でさえそこそこに匂います。
有機肥料を埋め込んで使うにはかなりの土の量が必要です。
「化成」という響きに違和感を持ってしまいますが、有機肥料からニオイを抜いて窒素リン酸カリをバランスよく足したものと考えるとまさに良いとこ取り。
少し割高と感じるかもしれませんが、鶏糞や魚粉などに比べ開封後の長期保存も可能で臭いもありません。
固形タイプも液肥タイプも販売されています。
どうしても有機肥料を使う場合
牛糞や鶏糞は割高であっても小分けのものを購入して下さい。
開封後使い切るのが理想です。
有機肥料は保存中に虫が湧きます。
また土に入れ過ぎても土中で虫が湧くことがあります。
化成肥料の過剰分の土壌残留は地下水汚染が環境問題として注目されていますが、有機肥料であってもそれは全く同じです。
有機でも過剰施肥は厳禁、適量を守りましょう。
土壌改良効果を求めるなら有機肥料ではなく土壌改良剤を使いましょう。
プランターバッグで使う肥料の量なんか知れてるのにコスパ意識して大袋を購入。臭い鶏糞減らなくて泣きたくなったことがあります。