実は難しい!挿し芽、挿し木の成功率を上げるコツ

挿し芽はけっこう難しい

茎や枝を発根させて株をつくる挿し芽、挿し木。
草本植物なら挿し芽、木本植物なら挿し木といいますが、同じ作業なのでこの記事内では呼び方を刺し芽に統一します。

ネットやテキストでは挿し芽は実に簡単と書かれていますが、アレってけっこう難しいんです。
観葉植物やハーブは確かに簡単ですが、普通の園芸植物はそうはいかない。
だいたい単なる茎の切れっぱしからどんどん株が増やせるんなら園芸店で苗を買う人なんかいなくなっちゃいます。
その難しい挿し芽を株まで育てるにはいくつかのコツがあります。
ぜひ習得して成功率を上げていきましょう!

挿し穂をつくる刃物にこだわれ!

挿し芽に使う茎を挿し穂といいます。
花や木の種類によって挿し穂の長さや残す葉の量は少し変わります。
でも全ての植物の挿し穂にいえることは「切れ味鋭い清潔な刃物でつくる」ということ。

  • 切り口の細胞を潰さないよく切れるナイフやハサミを使う
  • 雑菌の繁殖を防ぐため、刃物は洗って乾燥させておく

挿し穂の切り口は斜めにすると発根しやすいのですが、よく切れる刃物でないと肝心の先端が潰れてしまいます。
発根させる挿し穂先端の細胞にダメ―ジを加えるのは厳禁。
そして清潔な刃物でないと先端から腐ってきます。
上記2点はとても大事なポイントで、この時点で切り口の細胞が潰れていたら後の作業が全て無駄になってしまいます。

ここで盆栽教室で学んだテクをイラストで解説します。

盆栽では木を挿し穂で増やすのですが、木は発根までに時間がかかります。
先端を腐らせずに発根させるにはこれくらい気をつけないとダメなんですね。
先生はどんな挿し穂でもほぼ100%発根させておられました。

挿し穂ができたら発根促進剤を使おう!

挿し穂をつくったらすぐにメネデールのような発根促進剤に浸けてください。
というより発根促進剤の水溶液をつくっておいて、挿し穂をきったらすぐに水に浸けてください。
挿し穂はこの時点で乾かしてはいけません。
挿し穂は切った後2時間ほどかけて水分を吸収させるのですが、このとき発根促進剤をつかうと成功率があがります。
挿し穂がたっぷり水分を含んだら、水挿しするか土に挿して発根させていきます。

水挿しでの発根は注意が必要

上記のプロセスの後、そのままコップに挿して発根させるのが水挿しです。
観葉植物のポトスやハーブのミントは発根させる気がなくても活けてるだけで根がでてきますよね。
でも普通の園芸植物ではそんなわけにはいきません。
水挿しするなら以下の点に注意してください。

  • 水に発根促進剤を加える
  • 雑菌が繁殖しないように水は毎日取り替える
  • 挿し穂が発根したら早いうちに土に定植する

水差しは発根促進剤を使うと根を出すところまでは順調かもしれません。
でも衝撃の事実。
水差し出た根はとても繊細です。
土に移しても上手く水を吸い上げないことが多いのです。

水挿しで根が出てた時点で成功したと考えがちですが、成功はちゃんと株まで成長させること。
よくある土に移植して枯らしてしまう失敗は、水の中で育った根を過信してしまうことでおきるのです。
この失敗を防ぐにはコツは根が出揃ったら早めに土に移すことです。

水挿しではなく土で発根させる

挿し穂に発根促進剤を吸収させた後、水挿しせずに土に挿した方が丈夫な根が出ます。
土の中でちゃんと水分を吸収することができる根が挿し穂に出たら株の完成は目前です。

土に挿すときに気をつけるべきことは以下の点です

  • 土に咲いた後は挿し穂を絶対動かさないこと
  • 上のイラストで説明したように土に挿すときに先端を傷つけないこと。
  • 挿し穂を挿す土には栄養分が含まれないものを使うこと
  • 挿し穂を挿した用土は絶対に乾燥させないこと

私は種まき培土を用土に使います。
少しだけ元肥がはいっているにもかかわらず割と成功するのですが、これはきめの細かい土なので一度湿ると挿し穂をしっかり固定するからでしょう。

発根状況を確認したくて挿し穂を抜いてしまうことがありますが、それをやると埋め直してももう発根しないで終わってしまいます。
挿し穂は確認用を含めて多めにつくっておきましょう。

伸び盛りの部分を挿し穂にする

ポトスやミントの挿し芽が簡単に成功するのは、それ自体が持つ生命力が強いからです。
植物の種類だけではなく、株のどの部分を挿し穂にするかでも発根する確率は違ってきます。

マーガレットの挿し芽に木質化した古い茎を使うより、まだ緑色が残る若い茎を使うと短時間で発根します。
茎の持っている生命力が違うのです。
挿し穂をつくるときは伸び盛りの部分から切り取ってください。

挿し穂は多めに、あとは気長に

挿し芽は発根させれば終わりではありません。
そこからしっかり根を伸ばし、市販されているような苗に育てるには3か月くらいかかることもあります。
気温と湿度に左右されるので、毎年同じようにやってもかかる時間は変わります。
挿し穂は抜いて観察する分も含め、必要数の4~5倍くらいつくってちょうどいいくらいです。

慣れないうちはあまり期待せず、茎から植物のクローン株がつくれたらラッキー!くらいの気持ちで始めましょう。
数多く何度もやっているうちに、その植物のクセがつかめてきます。
5月から梅雨にかけては挿し芽の適期です。
ダメでもともとくらいの軽い気持ちで挿し芽に挑戦してください。