土に合わせた正しい水のやり方とは?

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平成の水やりはもうやめよう

ガーデニングや家庭菜園はどんどん変わってきています。
植物そのものが品種改良されていますし、園芸用品もライフスタイルに合わせて新製品が開発されています。
そのわりに情報が上書きされないのが園芸テキストやネット記事。
昔ながらのやり方をいつまでも書いているので、今の現状に全く合っていないものが多い。
代表的なものは「水やり」です。

真夏には日課となる水やり。
正しくやらないと水が無駄になるだけではなく、植物もダメにしてしまいます。
水やり方法を見直して、楽して水道代も節約しましょう。

「鉢底から流れ出るくらいたっぷりと」はもう古い

「鉢底から流れ出るくらいたっぷりと」
園芸テキストを読む人なら水やりに関するこのフレーズはお馴染みですよね。
でもこれが通用したのは平成くらいまでじゃないでしょうか。
今はこの水やりは通用しない、というか物理的に無理なんです。
このフレーズが多用されていた時代と現代とでは、流通している園芸培養土が根本的に変わってしまっているのです。

昔の園芸培養土

昭和~平成前半まで出回っていた園芸培養土は赤玉土をベースとし、それに腐葉土やバーク堆肥を混ぜたザクザクと目の粗いものでした。

赤玉土とは関東ローム層からとれる赤土が粒に固まった土。
使っているうちに赤玉土の粒が潰れて細かい微塵になってしまうので、これが園芸培養土の寿命とされていました。
粒が潰れにくい硬質の赤玉土は今でも盆栽に使われています。

昔の園芸培養土はザクザクなので一瞬で水を吸い込みます。
「鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと」はこの園芸培養土を指して使われた台詞です。
勢いよく土の中に水を通らせて赤玉土の微塵を流出させる目的もありました。

昔の園芸培養土の特徴はとにかく重い。半端なく重かった。
水を含まない乾いた状態でもとても重いのです。
大きなプランターに入れると持ち上げるどころか動かすことも大変で、流行り始めたハンギングバスケットにも使えませんでした。
時代と合わず、古い園芸培養土は徐々に店頭で見かけなくなっていきました。

今の園芸培養土

現在流通している園芸培養土は、ピートモスやバーミキュライトベースとした目の細かいものです。

今の園芸培養土の何よりの特徴は軽いこと。
軽い園芸培養土はハンギングバスケットやリースにも使いやすく、ガーデニングの幅を一気に広げました。
買って持ち帰りやすいことから、売っている鉢花もこの土が使われるのが普通です。

今の土に合わせた水やりをしよう!

今の園芸培養土は目が細かいので、水をたっぷりやっても鉢底から流れ出ることはありません。
保水力が高いので、土に水分を含ませればそれで水やりは終了します。
むしろそれ以上水をやっても土を通り抜けることはなく、表面の土を浮かせてしまいます。
新しく書かれた園芸テキストで、「表面の土が乾いたら水やりして下さい」と書かれているのはこの土のことです。

今の園芸培養土は水馴染みにクセがあります。
新品のときや完全に乾燥してしまうと水を弾いてしまうのです。
プランターをカラカラに水切れさせてしまい、あわててザーザー水をかけているのにちっとも染み込まず脇に流れるだけ…は誰にでもある経験です。
こんな時は一旦軽く水やりしてから時間を置き、土を少し湿った状態にしてから改めて水やりして下さい。

今の園芸培養土は底面給水とも相性がいいです。
鉢皿に吸収されるだけの水を入れ、下からの水分で土が湿ったころに上からも水やりしてください。
土が満遍なく水分を含むので、水やりの間隔を長くすることができます。

完全に乾かしてしまうと面倒なので、まだ土に少し水分が残っているうちに次の水やりをしましょう。
強い日光に晒されると、土の表面が膜を張ったように固まります。
棒やフォークで軽く耕すと、水が早く染み込むようになります。

昔の一瞬で水を吸い込む園芸培養土を懐かしむベテランガーデナーさんも多いのですが、私は今の誰にでも扱える軽い土の方が好き。
今の園芸培養土を上手く使いこなして、楽しくガーデニングを楽しめるコツを探っていきたいと思います。